少子高齢化や低金利といった社会の変化により「老後資金」に不安をもつ人が増えています。
コツコツとお金を貯めている方も多いのではないでしょうか?
しかし、メガバンクの普通預金の金利は0.001%と、預貯金で資産を増やすのが難しい時代…。
そこで注目されているのが「貯蓄」ではなく「投資」による資産形成の制度『つみたてNISA(少額投資非課税制度)』です。
「長期」「積立」「分散」投資が安心してでき、初心者でもチャレンジしやすいといわれています。
しかし、ネット上では「デメリットしかない」「やめた方がいい」といったネガティブな声があるのも事実。
そこで今回は、投資歴10年の私がつみたてNISAのメリット・デメリットや始め方、注意点をやさしく解説します!
投資にチャレンジしてみたいけど、始め方がわからない…
知識がないと難しいのでは?
疑問点を一緒に解決しましょう!
- つみたてNISAと一般NISAの違いがわかる!
- つみたてNISAのメリット・デメリット、注意点がわかる!
- つみたてNISAがおすすめな人の特徴がわかる!
- つみたてNISAの始め方がわかる!
つみたてNISAとは?
この項目では、つみたてNISAの基本情報を解説します。
つみたてNISAの基本情報
▼つみたてNISAの基本情報
対象年齢 | 18歳以上 |
対象商品 | 金融庁が定めた投資信託・ETF(上場投資信託) |
非課税対象 | 分配金・譲渡益 |
非課税投資枠 | 40万円/年(20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年 |
通常、投資で得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すれば、年間40万円までの投資に対し非課税で運用できます。
少額からリスクを抑えて資産形成できるように、投資対象商品は金融庁が長期投資に適していると判断した投資信託・ETFに限られているのが特徴です。
くわしくは、つみたてNISA|5つのメリットで紹介します!
なお、令和5年度税制改正に伴い、2024年より「新しいNISA」制度がスタート。
▼新しいNISAで改正されるポイント
- 口座開設期間が恒久化
- 非課税保有期間の無期限化
- 非課税投資枠の拡大
- 一般NISAとつみたてNISAの併用可能
今回の改正で制限が大きく緩和されるから、今よりさらに「長期運用による効果」を期待できる可能性も!
つみたてNISAと一般NISAの違い
「NISA=少額投資非課税制度」にはつみたてNISAと一般NISAがあり、それぞれに特徴があります。
▼つみたてNISAと一般NISAの特徴比較
つみたてNISA | 一般NISA | |
対象年齢 | 18歳以上※2023年〜 | 18歳以上※2023年〜 |
非課税期間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
非課税投資枠 | 年間40万円まで | 年間120万円まで |
投資可能期間 | 2023年12月末まで ※2024年より新しいNISA制度が開始予定 | 2023年12月末まで ※2024年より新しいNISA制度が開始予定 |
対象商品 | 投資信託・ETF (金融庁が定める基準を満たした商品) | 投資信託・国内株式・外国株式 |
購入方法 | 積立投資 | 一括投資・積立投資 |
▼つみたてNISAと一般NISAのおもな違い
- 購入方法が違う
- 非課税期間と非課税枠が違う
- 投資対象の商品が違う
比較表のとおり、つみたてNISAと一般NISAは、購入方法や非課税枠・期間、投資対象商品に違いがあります。
つみたてNISA・一般NISA、それぞれでメリットがある人の特徴は以下のとおりです。
- つみたてNISAでメリットがある人
-
投資経験が少ない初心者
- 少ない資金で長期間コツコツ運用したい人
- ローリスクで投資したい人
- 一般NISAでメリットがある人
-
投資経験がある中上級者
- 短期間で大きな額を投資したい人
- 株取引にチャレンジしたい人
2014年にスタートした一般NISAは、株式投資で短期的に利益を得る利用者が多く、投資初心者にはチャレンジしづらい傾向にありました。
そこで、少額からの「長期・積立・分散」投資に特化した「つみたてNISA」がスタート。
つみたてNISAが開始されたことで、資金が十分でない若い世代や投資初心者でも安心して投資できる環境になったのです。
ただし、つみたてNISAと一般NISAの併用はできないので注意しましょう。
つみたてNISA|5つのメリット
つみたてNISAのメリットは、次の5つです。
メリット①運用利益が最長20年間非課税になる
つみたてNISAは、1年間40万円の非課税枠で最長20年間投資ができます。
1年間で40万円×20年間だから、800万円を非課税で運用できるんです!
通常、投資の運用利益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAの場合は非課税枠内であれば税金がかかりません。
つまり、差し引かれるはずの税金分もすべて運用にまわせて、複利効果が期待できます。
ただし、つみたてNISAの買付は2023年末まで。
これからつみたてNISAを検討するのであれば、最大40万円分の投資ができるとよりお得です。
2023年中に買い終えれば2042年まで非課税で保有できるため、資産増加を期待できるでしょう。
メリット②少額からスタートできる
つみたてNISAの非課税投資枠の上限は40万円/年ですが、必ずしも使い切る必要はありません。
金融機関によっては100円から投資できる場合もあり、まとまった資金がない方でも気軽にスタートできます。
つみたてNISAは途中で積立額を変更できるから、無理のない金額で始めて、慣れてきたら少しずつ増やせばOK!
生活に負担をかけない範囲で長期的に資産形成を目指せるのが、つみたてNISAのメリットといえるでしょう。
メリット③金融庁が厳選した商品を買える
投資がはじめての方にとって、投資商品を選ぶのは難しいもの。
つみたてNISAの対象商品は、金融庁が厳選した「長期・積立・分散」投資に適した一定の投資信託・ETFに限られています。
金融庁に「手数料が安く長期運用に適している」と認められているから、安定した運用ができる可能性が高いんです♪
また、投資方法が「積立」に限定されるため、ドル・コスト平均法の効果も期待できます。
つみたてNISAの場合、投資方法は「積立」に限定されています。
毎月の購入金額が固定されているため「株価が上がると購入数量が少なく、下がると購入数量は多くなる」仕組み。
つまり「価格が高いときには少なく、安いときには多く」買い付けができるんです!
平均購入価格が低く抑えられるうえに、価格変動のリスクも低減します。
一括購入とくらべ、価格が高いときに購入してしまう「高づかみ」のリスクがないため、購入のタイミングにも悩みません。
メリット④分散投資によりリスクを低減できる
1つの商品だけに資金を投入してしまうと、ハイリターンは見込めるものの元本割れのリスクをともないます。
たとえば、100万円の資金を投資で運用するとしましょう。
つみたてNISAは、分散投資をおこなう投資信託のみを販売しているため、損失リスクを低減できるのがメリット。
ファンド自体を複数保有すれば、さらなるリスク分散が期待できるでしょう。
メリット⑤自由に解約(売却)できる
つみたてNISAは、好きなタイミングで解約(売却)して現金化できるのもメリットのひとつ。
税金が非課税となる制度には、NISAのほかにもiDeCo(個人型確定拠出金)があります。
iDeCoは私的年金の一種で老後資産形成が目的。原則60歳まで引き出せません。
しかし、つみたてNISAならマイホームや教育・急な病気や出産など、まとまった資金が必要なときに得た利益も含めていつでも活用できます。
つみたてNISA|5つのデメリット
次に、つみたてNISAのデメリットを5つ紹介します。
デメリット①元本割れの可能性がある
つみたてNISAに限らず、投資である以上「絶対損をしない」ことはありません。
運用次第では、購入時より値下がりして元本割れするリスクも。
金融庁が厳選した「長期・積立・分散」投資に適した商品ばかりだけど、元本保証はありません…。
ただし、長期的に見ると経済は成長していくことから、長期運用によってリスクを下げることができます。
デメリット②一括投資(スポット購入)ができない
つみたてNISAは、定時定額で購入する「積立投資」のみ。
毎月100円〜の積立を最高20年間という長期的な目線で資金形成を目指します。
数日、数ヶ月といった「短期間で大きな利益を出したい」と考える人には向いていません。
デメリット③決められた投資信託・ETFでしか運用できない
つみたてNISAは、TOPIXや日経平均株価、S&P500などに連動するインデックスファンド(リスクが少なく控えめな運用)が中心。
したがって、国内外の個別株式・REITへの投資はできません。(バランスファンドへの組み込みは除く)
金融庁が厳選した「長期・積立・分散」投資に適した商品だけなので、ハイリスクなファンドがないのはむしろメリット!
個別株式への投資を考えている方は、つみたてNISAではなく一般NISAを選ぶ必要があります。
つみたてNISAと一般NISAは併用できないため、慎重に検討しましょう。
※2024年から始まる「新しいNISA」では、併用できるようになります。
デメリット④ロールオーバーができない
20年間の非課税期間が終了したら、以下の方法を選びましょう。
- 課税口座で運用する
- 売却して現金化し、運用を終了する
なお、2024年からスタートする新しいNISA制度では「非課税期間が無期限になる」「年間投資上限額」が引き上げられるなど運用の幅が広がります。
デメリット⑤損益が出ても税制優遇がない
つみたてNISAで損益が出た場合、通常の投資では認められる「損益通算」や「繰越控除」といった税制優遇はありません。
- ▼損益通算とは?
赤字所得を黒字所得と相殺する計算方法。
税制上の黒字所得が減って、税金を減らせます。 -
たとえば、投資商品Aで100万円の運用益が出て、投資商品Bで100万円の損失を負ったとしましょう。
通常であれば100万円の損失は相殺され運用益は0円となります。
しかし、つみたてNISAでは運用利益を相殺できません。
仮に、100万円の損失がある投資商品BがNISA口座であれば、投資商品Aの運用益100万円はそのまま計上され、実際に利益が出ていないにもかかわらず税金がかかります。
- ▼繰越控除とは?
本年度分の損失を翌年以降に繰り越し、繰り越した年の運用益の税金を控除できます。 -
通常の投資では、損失を3年間繰り越すことが可能。
100万円の損失を負った投資商品Bにおいて、翌年に100万円の運用益が出ると損失と利益を相殺して運用益を0円で計上できるのですが、つみたてNISAでは適用されません。
つみたてNISAは非課税なので、一般的な税制とは異なります。
つみたてNISAの注意点
つみたてNISAの注意点は以下の3つです。
注意点①つみたてNISAと一般NISAは併用できない
つみたてNISAと一般NISAは併用できません。
それぞれの特徴を踏まえて、投資目的やライフタイルに合わせて事前に決める必要があります。
新しいNISAでは、両方を併用できるようになりますよ!
注意点②1人1口座しか口座開設できない
同一金融機関はもちろん、ほかの金融機関でも開設できないので注意しましょう。
注意点③非課税枠は再利用・繰り越しできない
つみたてNISAの非課税枠は40万円/年ですが、非課税投資枠は再利用・繰り越しできません。
たとえば、積み立てた10万円分の投資信託をすべて売却したとしましょう。
「つみたてNISAで保有する商品はない=10万円分の枠が空いた」…とはならないので注意が必要です。
売却した10万円分の非課税投資枠は、すでに消費されているため復活はしません。
したがって、その年の非課税投資枠は30万円となります。
1年間に10万円しか使わなかったとしても、翌年の非課税投資枠は40万円のまま。
つみたてNISAは投資上限枠が限られているので、40万円/年の非課税投資枠は使い切るのがベストです。
つみたてNISAがおすすめな人
ここでは、つみたてNISAがおすすめな人の特徴を紹介します。
当てはまる人は、ぜひつみたてNISAを始めてみてください!
投資経験が少ない人
つみたてNISAは「投資がはじめて」「投資経験が少ない」人におすすめです。
▼おすすめの理由
- 金融庁が厳選したリスクが少ない商品だから
- 商品と金額が決定したら、自動的に積み立てできるから
投資信託のなかには、投資知識を必要とするハイリスク・ハイリターンな商品が多くあります。
商品の見極めが難しい初心者には、あらかじめ厳選された銘柄から選べるのから迷わずスタートできます!
また、「どの金融商品」に「どれくらいの頻度」で「いくら投資」するかを決めれば、購入のタイミングや価格変動を気にせず自動投資できるのも安心でしょう。
投資できる金額が限られている人
金融機関によって異なりますが、つみたてNISAは100円や1,000円など少額からの投資が可能です。
収入やライフスタイルに合わせて無理なくチャレンジできるのが、つみたてNISAの魅力です。
もちろん、投資額が多いほうが資産を増やせるので、達成期日や目標額が決まっていれば投資額を算出してみましょう。
積み立て金額の変更は可能なので、まずは少額からでもスタートすることをおすすめします。
将来まとまった資金を確保したい人
老後資金のような将来まとまった資金を確保したい人には、最長20年間、非課税で運用できるつみたてNISAがおすすめです。
特に20代、30代であれば退職まで20年以上はあるため、少額の積み立てでも大きな資産となる可能性があります。
また、長期間の運用により一時的な価格変動が起きた場合も、影響を一定の範囲内にとどめられるので安心です。
つみたてNISAの始め方
「つみたてNISAをやってみたい!」と思ったらなにから始めればいいのか…みなさん悩みますよね。
4つのステップで解説します。
ステップ①口座を開設する
まずは、つみたてNISA専用口座を開設します。
つみたてNISAの口座は1人1口座しか作れないので、慎重に検討しましょう。
- 証券会社
- 銀行・信託銀行
- 投信会社
- 信用組合・信用金庫・労働金庫
- 農協
金融機関を選ぶときは、商品数・最低積立金額の2点を確認するとよいでしょう。
私のおすすめは、商品数がネット証券トップで最低積立金額が100円からスタートできる『SBI証券』!
SBI証券の始め方は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてくださいね♪
ステップ②投資対象商品(銘柄)を選ぶ
口座開設ができたら、いよいよ投資対象商品を選びます。
長期で値上がりが期待できる、投資信託への投資がおすすめ!
▼投資対象商品を選ぶポイントは、以下の3つです。
- 全世界もしくは米国に分散投資されているもの
-
- 全世界の複数の国に分散投資すると、暴落リスクを抑えられる
- 時価総額1位を誇る米国株の株価は、長期的に上昇傾向にあり安定している
- 信託報酬(手数料)が低いもの
-
- 信託報酬は日々のコストとして差し引かれるため、低いほうが有利になる
- 純資産総額が大きいもの
-
- 純資産が大きいものほど継続運用が見込める
つみたてNISAは、長期でコツコツ投資していくものだからこそ、将来的な値下がりリスクが少ない商品を選びたいですね。
ステップ③積み立て金額を決める
投資対象商品を選んだら、積み立て金額を決めます。
毎回いくらずつ積み立てられるか試算してみましょう。
金融機関によっては、100円からスタートできるものも。
年間40万円を12ヶ月で割ると、1ヶ月あたり33,333円です。
ですが、2024年からスタートする『新NISA』の影響により、つみたてNISAの買付期日は2023年末まで。
2023年中に最大の40万円を積み立てるなら、より多くの金額が必要となる点を視野に入れましょう。
ただし、生活に無理のない範囲で積立額を検討することが大切です。
ステップ④積み立てを始める
銘柄と金額が決まれば自動運用となるので、特別な手続きは必要ありません。
目論見書をしっかりチェックして、選んだ投資信託の概要やリスク・手数料などの重要事項を把握しておきましょう。
引き落とし口座が残高不足にならないよう、定期的な確認は忘れずに!
つみたてNISAを始めるなら、おすすめは『SBI証券』です。
以下の記事では、私も利用しているSBI証券の評判・口コミを解説しています。
ぜひ参考にしてみてください♪
つみたてNISA|口座開設するならSBI証券がおすすめ!
本記事では、つみたてNISA(少額投資非課税制度)の基本情報やメリット・デメリット、おすすめの人の特徴や始め方を紹介しました。
つみたてNISAは、長期投資により価格変動を抑えながら、利益を非課税で運用できる大きなメリットがあります。
手間が少なく、初心者にもおすすめの投資方法です。
今回紹介したメリット・デメリットをしっかり理解して、資産形成に役立ててくださいね。
つみたてNISAを始めるには、どこで口座開設すればいい?
投資歴10年の私がおすすめなのは『SBI証券』です。
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